では、なぜ、セクハラ発言を受けた女性記者が所属するメディア企業は動かないのか。取材だから、当然勤務時間中でのことだ。そして、会社組織として、財務省事務次官に対してセクハラ発言への抗議を申し込まなかったのだろうか。理解に苦しむ。
きょう18日のニュースで、麻生財務大臣が、女性記者にセクハラ発言をしていたと週刊誌に報じられた事務次官から辞任の申し出があったと述べたと報じられている。辞任の理由は、このような状況下で次官の職責を果たすことが困難と考えたようだ。次官はきょう財務省内で記者団の取材に応じ、セクハラ発言の事実を否定し、名誉棄損で裁判に訴え争うという。
裁判となると、当然、セクハラ発言を受けた女性記者に対して、法廷での証言が求められるだろう。顔出しをする必要はないが、記者としてそのセクハラ発言にどう対応したのか聴きたい。もし、出廷しなかった場合、裁判は成立するのだろうか。週刊誌報道は被害者と加害者という構図で構成がされているので、被害者の証言がない場合は事実認定は難しくなるだろう。その場合、週刊誌側に不利になるのではないだろうか。
女性記者が出廷して証言した場合はどうか。「セクハラ」と感じたと女性記者が証言したとして、なぜ自身の自らのメディアで報じなかったのか問われるだろう。週刊誌に音声データを渡した理由と経緯も問いただされるでのはないだろうか。
フリージャーナリストの女性が元TBSの記者の男性を、望まない性行為で精神的苦痛を受けたとして民事訴訟で訴えている。報道によると、女性は2015年4月、就職の相談をしようと都内で男性と会食し、その後意識を失ってホテルで望まない性行為をされたと訴えている。この問題が浮き上がった当初はハリウッドで起きた「#MeToo」、セクハラ告発が日本でもムーブメントとして起きたとの新鮮な印象だった。顔をメディアに出しての告発だ。
警視庁はこの件を男性による準強姦罪の容疑で捜査したが、東京地検は2017年4月、嫌疑不十分で不起訴処分。女性は5月に司法記者クラブで会見し、検察審査会に不服を申し立てたことを公表したが、検察審査会は9月に「不起訴相当」との議決を出した。女性はめげずに民事訴訟で訴えた。2017年10月、日本外国特派員協会での記者会見も行っている。女性は氏名も明かしている。評価はいろいろあるが、戦うジャーナリストの姿がそこにある。
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