★国会の「まな板の鯉」あがく

   きょう27日午後、循環器系のカテーテル検査がある。午前10時から点滴が始まるので病室で待機。「そろそろ始まるぞ」と思い、テレビのリモコンをオンにした。国税庁長官を辞任した佐川宣寿氏に対する参院予算委員会での証人喚問が午前9時30分に始まった。自民の丸川珠代氏が、森友学園との国有地取引に安倍総理や夫人の影響があったかを尋ねた。佐川氏は「昨年の国会答弁を通じて過去の文書を見ている。その中では一切、総理や総理夫人の影響があったとは私は全く考えていません」と否定した。

   また、丸川氏は国有地の取り引きについて国有地取引に関する決裁文書では書き換え前に「特例的」とか「特殊性」といった表現が記載されていたことについて「総理夫人の関与を意味しているか」と質問した。佐川氏は「通常は国有財産は売却するが、貸し付ける場合の期間は通達に3年間と書いており、その期間は特例承認をもらって変えることができる。特例とはそういう意味だと昨年も答弁している」と述べ、「本件の特殊性」という記述は政治家の関与を意味しているものではないとした。

   午前10時、点滴を受けながらテレビを食い入るように見た。証人喚問の中継を視聴していて、気になったのが、「私がどのように関わったかの問題そのものなので、告発されている身なので答弁は控える」「刑事訴追のおそれがあるので答弁は控えたい」と繰り返し答弁を拒んだことだ。佐川氏は補佐人の弁護士にたびたび助言を求め、「刑事訴追の恐れ」を繰り返し証言を拒否する場面が目立った。

   うがった見方かもしれないが、佐川氏については、理財局長だった当時「森友学園との交渉記録を破棄した」として、東京大学名誉教授らの市民団体が昨年10月、公文書等毀棄などの容疑で告発し、受理した大阪地検特捜部が調べることになっている。きょうの証人喚問の終了降、特捜部は任意で佐川氏に事情を聴くことが決まっていて、すでに本人に連絡が入っているのではないか。だから佐川氏の気持ちは国会ではなく特捜部に向いていて、国会で言質を取られないように必死に予防線を張っている。何しろ国家公務員の場合、刑事訴追が現実になれば、退職金がゼロになる場合もあるのだ。

   もう一つ。総理夫人付の政府職員がFAXと電話で問い合わせた財務省理財局の田村室長について、佐川氏は「田村、いや田村室長」と何度も繰り返した。かつての職場での上下関係とは言え、名前の呼び捨てを繰り返したことで、理財局の内部の雰囲気が十分に伝わってきた。上下関係が支配する怖い職場なのだと。午前11時40分ごろに参院予算委員会の証人喚問が終わった。

   心臓カテーテル検査のため昼食は抜きだった。点滴のまま車イスに乗せられ、検査室へ。午後1時、カテーテル検査が始まった。右手首の血管にプラスチック製のチューブ(カテーテル)が挿入された。造影剤を注入されると右手が急に一瞬熱くなった。血管を造影することで狭窄や閉塞(血管が細くなっている部分、詰まっている部分)が調べられた。20分余りの検査だったが長く感じた。検査を終えた医師はひと言。「早めに見つかってよかった」

   病室に戻りテレビをつけると、今度は衆院予算委員会で佐川氏の証人喚問が行われていた。私は検査台の上では完全に「まな板の鯉」で静かに横たわっていた。しかし、国会の「まな板の鯉」の佐川氏は最後まで「刑事訴追のおそれがあるので答弁は控えたい」とあがいていた。

⇒27日(火)夜・金沢の天気    はれ