★トランプ減税、バブルの予感

    最近の週刊誌で来年は株価急騰すると見出しで煽っている。「『日経平均3万円超え』は6月」(週刊現代12月30日号)や「株価3万円の大台に GDP3%成長も」(週刊エコノミスト12月26日号)、「18年末『3万円』の“強気派”も北朝鮮と中国経済には警戒感」(週刊ダイヤモンド12月30日号)などだ。

    景気拡大は実感できないし、消費も増えているような気配は皮膚感覚として感じられないのに、なぜ週刊誌は「株価3万円だ」と飛ばしているのだろうか。確かに、株価は実体経済の1年から1年半くらいを先読みするものだから、おそらく投資のプロは読み込んでいるのだろう。それにしても素人には理解しがたいと半信半疑になっていたところに、アメリカ発のニュースが目に留まった。新聞メディア各社が伝えている。「トランプ減税、法成立 10年で170兆円規模」(朝日新聞12月24日付)
    
    トランプ大統領が最重要政策に掲げていた、30年ぶりとなる税制改革法案が議会上下院で可決され、大統領が22日ホワイトハウスで署名した。来年1月から法人税率を35%から21%に引き下げる。減税規模は10年間で1.5兆㌦(170兆円)に上るとされる。日本のメディアは、今回の税制改革について、大企業や金持ち優遇でありアメリカの世論調査は過半数が否定と伝えている。しかし、紙面を読み込むと、今回の税制改革は法人税率だけはない。

  アメリカの企業が海外で稼いだ利益にも税を課す「全世界所得課税方式」を廃止し、今後は企業が海外で得た利益の大半についてアメリカの所得税課税からも免除する。さらに、アメリカの企業が海外に留保する利益を本国に戻す際に1回限りの課税を行い、税率は現金・流動資産が15.5%となる。企業の海外で保留する利益を本国アメリカに還流させる狙いだ。これまで、企業は海外子会社から配当を受ける際に35%の高い税率を本国で課せられるため、海外に現金・流動資金を込んでいた。ちなみにその額は2.5兆㌦(280兆円)とも指摘されている。

    これが、今回の税制改革で本国アメリカに大きなうねりとなって還流するかもしれない。資金還流性が実現すれば、アメリカ企業によるM&A(合併・買収)や設備投資が活発化するだろうし、株主への配当増などで株価などの押し上げ効果も期待できる。

    単純計算だが、法人税減税分(10年間)と海外留保資金を合わせると4兆㌦(450兆円)にもなる。アメリカ版「バブル経済」が再びうねるのか。話を冒頭に戻す。日本の株価3万円説はトランプ減税の経済効果を織り込み済み?

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