☆電磁パルス、新たな脅威

  「核実験」、「水爆実験」、そしてついに「電磁パルス」が北朝鮮から出てきた。3日付の北朝鮮の朝鮮中央通信WEB版は、ICBM(大陸間弾道ミサイル)に搭載する水素爆弾を金正恩朝鮮労働党委員長が兵器研究所を訪れ、視察したと伝えている=写真=。その中で、
「우리의 수소탄은 거대한 살상파괴력을 발휘할뿐아니라 전략적목적에 따라 고공에서 폭발시켜 광대한 지역에 대한 초강력EMP공격까지 가할수 있는 다기능화된 열핵전투부이다.」(我々の水素爆弾は巨大な殺傷破壊力を発揮するだけではなく戦略的目的によって高空で爆発させて広大な地域に対する超強力EMP攻撃まで加えることができる多機能化された熱核戦闘部だ.)と戦闘能力を誇っている。ここに出てくる「EMP」、これが電磁パルス(electromagnetic pulse)のことだ。北朝鮮は初めて公式にEMP開発の事実を明らかにした。

   その記事を掲載した同日に「水爆実験に完全成功」と伝えた。北朝鮮はここに来て2つの攻撃兵器を開発したことになる。水爆と電磁パルスだ。電磁パルスは高高度で核爆発させることで生じる電磁波のパルス(衝撃)で、地上にある電子回路を瞬時に発火させたり、広いエリアの電気設備や電子装置を延焼させることができる兵器だ。核爆発で電気系統をことごとく破壊する最悪の兵器とも言われる。

   大規模な停電が長期間続けばその被害は計り知れない。韓国の中央日報は5日付の記事で、北朝鮮がEMP攻撃に関心を持つのには理由について、北朝鮮がICBMを開発する場合、最大の難題は大気圏再進入の技術だが、EMPの場合は高度20㌔以上高いところで爆発することで十分な効果を出すことができるからだと解説している。アメリカでたとえれば、高度400㌔上空での核爆弾を爆発させることでアメリカ全域にEMPによる破壊効果を及ぼす。電気がなければアメリカが築きあげてきた現代文明がまさに破壊される。

   これに対し、日本政府の対応は防衛省がEMP攻撃の研究費を計上している段階。また、経産省が発電所の防護策を、国交省は交通機関などの防護策をこれから検討する段階という。各省庁が縦割りで対策を講じるレベルの話ではないだろう。北の脅威は迫っている。

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