☆日本海の波高し

   日本海が「にぎやか」になってきた。きのう28日、金沢港にイタリアの大型クルーズ船「コスタ・ネオロマンチカ」(5万7千㌧、乗客定員1800人)が接岸した。金沢港が発着で、境港、釜山港、博多港、舞鶴港など日本海を周遊する。船内ではイタリア料理や社交ダンスを楽しみながら6日間の船旅を楽しむ。北陸新幹線の開業効果の一つで、東京から金沢に来 て、金沢港で船に乗り込めば日本海クルーズが楽しめるというわけだ。10月まで32回を予定しているという。

   一方、アメリカの原子力空母「カール・ビンソン」はきょう29日、長崎県沖の対馬海峡を通過し、日本海に入ったとのニュースが流れた。海上自衛隊の護衛艦とさっそく共同訓練を行うなど、北朝鮮をにらんだ緊張状態が続く。そして、北朝鮮がきょう午前5時30分ごろ、日本海に向けて弾道ミサイル1発を発射したとのニュースが速報で流れた。菅官房長官は記者会見で「50㌔離れた北朝鮮内陸部に落下したと推定される」と述べた。弾道ミサイルは日本海へは届かなかったようだ。ニュースを見て心配になったことは、アメリカなどが圧力を強める中、北朝鮮側があえて挑発行為に出たことだ。

   関連して気になることが一つ。今回の北のミサイル発射で日本国内で過敏ともいえる動きが出始めていることだ。北のミサイル発射で、北陸新幹線は午前6時8分から19分までの11分間、金沢-上越妙高間での運転を見合わせた。ブレーキをかけての緊急停車。JR西日本が、北のミサイルへの対応で新幹線を停止させたのはこれが初めてという。

   先に「過敏ともいえる動き」と表現したのは、JR西日本は「Jアラート」など政府の警報が発動した時に新幹線を止めるルールの運用を今月から始めているが、今回はJアラートが発動したわけではなく、ニュースを知って同社が総合的に判断して、念のために止めたということだ。これを「過剰反応」というか、「安全の最優先」というかは別として、今後同類の反応がいたるところで起きてくることだろう。

   話を冒頭に戻す。日本海のクルーズが本格化し、新たな観光の時代の幕開けと期待できる。ただ、北朝鮮の動きや、空母「カール・ビンソン」が今後どのように日本海に展開するのか気が気でならない。果たして、このような状況の中でクルーズを楽しむ気になれるだろうか。タイミングがよくない。日本海の波高しだ。

⇒29日(土)夜・金沢の天気    はれ