金沢市内多くのセルフスタンドで「レギュラー111円(会員)」という価格になっている。昨年末は145円前後だったので30円余り安くなっている。例年だと年末価格となり、少しは上げるのだが安値を更新しているようだ。最近のニュースをチェックすると、世界的な原油の供給過剰で来年も原油安は続くとみられていて、年明けも値下がりが続くとの予想されている。
~ガソリン1㍑111円、金沢おでん「かに面」1個1800円の経済~
きょう30日、大納会を迎えた東京株式市場で日経平均株価の終値は1万9033円71銭だった。3日続伸して年内の取引を終えた。年間では9%高と4年連続の上昇となり、19年ぶりに1万9000円台に乗せたまま年を越す。ことし1年の相場を眺めてみると、日経平均株価が一時2万円を回復し、日本株の復活を印象づけた。その最大のエンジンは、円安や原油安を背景とした好調な企業業績だろう。最高値は6月24日につけた終値2万0868円03銭だった。ところが、夏には中国株が急落、いわゆる中国ショックに見舞われ、国際経済が翻弄された。
同じく30日のニューヨーク株式市場は、大企業で構成するダウ工業株平均が下落しているようだ。原油の先物価格が大きく値下がりし、業績悪化が危惧され、シェブロンやエクソンモービルといったエネルギー関連の株が売られている。この原油の価格動向が2016年の経済の明暗を分けるのではないか。「オイルショック」の到来するのか。1973年(第1次)と1979年(第2次)のオイルショックは原油の供給が逼迫して、価格高騰して世界の経済混乱した。今回はロシアやアメリカ、アラブ諸国など産油国が混乱する、石油危機の可能性だ。
不思議なのは、中国ショックで、いわゆる「爆買い」中国人の観光客が減ったのかというとそうでもない。身近な例だと、国の特別名勝である兼六園は中国人の人気スポットだ。兼六園の名称そのものが、中国の古典『洛陽名園記』から取られている。宏大と幽邃(ゆうすい)、人力と蒼古(そうこ)、水泉と眺望、それぞれに相矛盾する美のコントラストを兼ね備えた名園というところから由来している。兼六園を散策すると、四方八方から中国語が聞こえ、レンタルで和服を着た中国人女性たちがはしゃいで歩く姿も時折見かける。これこそ、兼六園の新たな見所(みどころ)ではないかと思ってしまう。
兼六園の入園者数は昨年度(平成26年度)の総入場者203万人、今年度は4月-11月末の8ヵ月間で230万人となり、年度換算288万人という予想もある。実に4割増である。中国人観光客だけが増えているのではない。後で述べる北陸新幹線の開業効果もあるだろう。それよりも、欧米の旅行者を含め、全体のインバウンドが増加している。面白いデータをサイト内で見つけた。世界の旅行口コミサイトの「トリップアドバイザー」(日本法人版)が昨年6月に発表した「トラベラーズチョイス 世界の人気観光スポット2014~ランドマーク・公園編~」によると、アジアの公園トップ25のうち広島平和記念公園が2位、兼六園が5位、奈良公園が6位の順で選ばれている。ちなみに1位はシンガポール植物園だった。以前の2013年版で兼六園は欄外だった。Kenrokuenが一気にランクインた理由と背景は何だったのか。
ことし3月14日に金沢開業した北陸新幹線の効果を地元メディア(新聞・テレビ)がことし一年の総括として検証する番組を流している。東京からのアクセスが2時間30分。JR西日本の発表によると、3月14日の金沢延伸から9月13日までの北陸新幹線利用者は482万人。前年同期に在来線特急に乗車した人のざっと3倍だ。1日の利用者は2万6千人。シルバーウィーク中(9月18-23日)は24万人の利用があり、前年同期の4倍以上を記録している。こうした効果が果たして来年2016年以降も継続するのかどうか。
最近驚いたことがある。金沢駅のおでん屋に入った。冬のおでんだねでもある「かに面」を注文した。午後5時ごろだったが、店員は「売り切れ」という。そして、価格を見ると1個1800円もするのだ。それまでは、1個500円前後だったと記憶している。このかに面はズワイガニの雌のコウバコガニ(小さいカニ)の殻に、カニから取り出した身や卵やミソを詰めて蒸し、おでんのだしで煮たもの。もともと金沢のおでんの中では高級品。ところが3倍以上も価格が跳ね上がっている。季節限定の商品でしかも、ことしはコウバコが獲れる少ないとなれば価格は跳ね上がってもしかたがない。原価計算をしてみる。金沢市内のスーパーではコウバコのゆでたものを1匹500円前後に売っている。売れ残ったものをおでん具材の業者が閉店後にまとめ買いして加工して、おでん屋に卸したとしてもせいぜいが700円ほどではないか。(※写真は金沢市内のおでん屋で若い女性たちの行列ができている。お目当ては「かに面」・12月12日午後8時ごろ)
ホテル料金にしてもそうだ。「平日で泊まってもこれまでに3倍だ」と大阪から金沢に来た知り合いが驚いていた。その後、知人の口調は「ぼったくりと評判が広がれば金沢は持ちませんよ」と鋭くなった。こんなことで、来年の金沢の観光は持ちこたえることができるのだろうか。そして日本、そして世界の経済は。
⇒30日(水)夜・金沢の天気 あめ