☆頭上のリスク

  規制法はいつも後手後手に回り、犠牲者が出て始めて立法へと動き出す。信号機の設置ですらそうだ。犠牲になった人はまさに人身御供だ。これが法治国家、日本の現状といえる。

  前回、前々回のブログで小型無人機「ドローン」のことを書いた。現行法では、航空法で250㍍以下の飛行物体に関して規制はない。ただ、人の頭上にドローンを飛ばすな、と。当たり前のことを書いているだけだ。今月1日付の読売新聞で関連したことが記事になっていた。以下、引用する。

  富山県高岡市の伝統祭礼「御車山祭(みくるまやままつり)」の山車が集まる同市の交差点付近で1日正午前に、ドローンが上空を飛行しているのを大勢の見物客が目撃した。見物客が最も多く集まる祭りのハイライトとなる場所で、人混みの上空を上下したり、空中にとどまったりして、十数分間にわたって飛行したという。誰が飛ばしたのか分かっていない。高岡署の幹部は「人通りの多い場所での飛行は好ましくない」としたうえで、現状では法規制がないため、「危ないからやめるようにと注意はできても、強制的な措置は取れない」と話す。以上が記事の要約だ。

  祭りの実施者や見物客が頭上が気になって、祭りに集中できなかったであろうことは想像に難くない。いくら法律的な規制がないとしても、飛ばす方の無神経さがむしろ気になる。操作の誤り、電柱や電線、樹木などとの接触事故、電池切れ、そんなリスクを考えたら普通だったら人様の頭上を飛ばすことはためらう。早急に、操縦者の登録制、それに伴う適正検査、飛行エリアの基準、事前の届け出など、法的な規制でするべきことはいくらでもあるだろう。

  これは飛ばすことの権利や自由などとは次元が異なり、人身の安全の保障・担保という話だ。田んぼや野山なら、誰も文句は言わない。頭上にリクスを感じるから、やめてほしいと言っているだけなのだ。

⇒2日(土)午後・和歌山県白浜町の天気   はれ