この件の事情を韓国メディアの掲載記事で検索すると、2013年9月23日付の中央日報WEB版(日本語)は嘆いている。経済協力開発機構(OECD)加盟国で交通事故死亡率1位(2010年基準)、人口100万人当たり死亡者は114人。「交通事故死亡者5392人のうち57.4%に当たる3093人が歩道と車道が区分されていない幅9㍍未満の生活道路で犠牲になった。高速道路や広い道路よりも住宅地周辺の狭い道がさらに危険なのが韓国の現実だ」と。ちなみに、同じ統計で日本では100万人当たり死亡者45人なので、韓国の死亡事故は日本の2倍以上となる。ただ、交通死亡事故の定義は日本は24時間以内で死亡した統計であり、各国との比較は微妙だが、それにしても韓国の死亡事故は多い。
何を言いたいのかというと、安全に対する国と人の尺度に韓国と日本の違いあるのではないかとの推測である。それを交通分野で数値化すると上記の数字となる。上記の韓国紙によると、「高速道路や広い道路よりも住宅地周辺の狭い道がさらに危険なのが韓国の現実」とあり、日常の生活空間での交通事故死が半数以上を占める。とすれば、冒頭の総領事館が注意を呼びかている「信号無視や横断歩行者の妨害、オートバイの歩道走行などの違法行為や割り込み」は現実味を帯びる。
しかし、振り返ってみると、日本は交通事故死者は4411人(2012年・警察庁統計)だが、1970年に1万6765人(同統計)の死者がいた。つまり、現在の4倍である。当時の人口は1億466万人なので、100万人当たりで計算すると160人となる。つまり韓国以上だった。この1970年をピークに減っていく。なぜか。当時は「交通戦争」と呼ばれるほどに社会問題だった。とくに飲酒運転による死亡事故が多く、2002年6月に改正された改正道路交通法により罰則など強化とともに社会的な交通安全への機運の高まり、2007年9月の飲酒運転のさらなる厳罰化、2009年6月の悪質・危険運転者に対する行政処分の強化など法による取り締まりが徹底された。国民も順守した。
朴槿恵大統領がセウォル号沈没事故の遺族の前で「すべての悪弊を取り除いて、必ず安全な国をつくる」と述べた(4月29日)。おそらく韓国でも海難事故や交通事故、建築基準法など安全に対するさまざまな法的な取り締まりが今後立法化され、徹底されるだろう。問題はその法を守ろうとする国民の順法の尺度がどうなのか問われることになるだろう。
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