今週の話題はなんと言っても、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で日本がキューバを下して「初代世界一」になったことだろう。2次リーグではアメリカ戦で「誤審騒動」もあって1勝2敗と苦しんだ。しかし、アメリカがメキシコに敗れる波乱もあり、2位で準決勝に進出。今大会では2戦2勝している韓国に6-0で雪辱して決勝進出と、運も手伝った薄氷の勝利だった。
ところで、連日のWBCの大見出しに他のニュースはかき消されたかのような感じのこの一週間だったが、石川県でもヒヤヒヤの勝利があった。19日に投開票された石川県議補選で、森喜朗前総理の長男、祐喜氏(41)=自民新人、森氏の地元秘書=が相手候補に405票の僅差で逃げ切った。
この県議補選では、森前総理は出陣式でもマイクは握らず、ただ支持者に頭を下げているだけだった。その代わり、公示前後に麻生外務大臣、安倍官房長官、自民党の中川政調会長らそうそうたるメンバーが選挙区に入り、まるで国政選挙並みの応援だった。競り合った相手候補は無所属新人の53歳、現在は建築設計士で元県職労委員長だった人。激戦を反映して、投票率は同時に行われた県知事選(40.10%)をはるかに上回る70.28%だった。
僅差で逃げ切った祐喜氏だが、敗れた相手の方が敗戦の弁に勢いがあった。「勝敗では負けたが、選挙では負けてはいない」と。なぜか。森氏の地元である能美市では、祐喜氏の11728票に対し、相手方は12085票と357票上回っているのである。テレビのインタビューで、森氏の選挙参謀が「17日の総決起大会で予想外に多くの参加があり、気が緩んだのではないか」と分析していたのが印象的だった。
今回は県議補選。一年後に県議選があり、両者の熾(し)烈な選挙はもう始まっているのかもしれない。
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