☆ブログの技術⑥

  ブログはメディアか否か、という論議がある。27年間、マスメディアに身を置いてきた私の判断では否である。ただし、極めて少数だが個人ジャーナリズムと言おうか、身銭を切って総選挙(9月)の現場をリポートしたり、自民党など各政党に取材を申し込み、政策を問うなどして、記事をブログにアップしている人がいる。応援したい気分になる。    

    テーマ「メディア化するブロガー像」

  私がブログはメディアにはなりえないと判断するのは、ブログでは客観的な事実関係の裏づけができない、と思うからだ。理由は簡単である、事実の裏づけ作業は複数でしなければならない。1人だとどうしても独断になってしまう。フリーのジャーナリストにしても原稿を出版社やマスコミに持ち込む場合、編集デスクの手を通る。ノーチェックでそのまま掲載することは稀だろう。

   ただし、ブログはブロガーをメディア化する、と思っている。説明しよう。ブログに目覚めた人はカメラを手放さないだろうし、ちょっとした思い付きでもネタ帳にメモをする癖ができているはずだ。「ブログの技術①」でも紹介したように新聞の切り抜きも日常になっていると思う。そして、職場や同好のサークルで聞き耳を立てて面白そうな話を探しているに違いない。逆にこのくらいのことをしないとブログは書けないし、続かないのだ。実は言うと、このような所作はマスメディアの記者たちが日常行っていることなのだ。熱心なブロガーは知らず知らずのうちにマスメディアの記者たちと同じベクトル上を歩いている。

  ことし9月14日に最高裁が判断した「在外選挙権訴訟」の違憲判決を受けて、インターネットの選挙利用が解禁になる見通しだ。早ければ来年の通常国会にも公選法改正案が議員立法で提出される。07年夏の参院選は「ネット選挙」あるいは「ブログ選挙」となることを視野に入れていた方がよい。2003年、日本にブログサイトが立ち上がって4年後である。この頃になれば、熟練し、高度にメディア化したブログの猛者たちが数多く存在していることだろう。こうしたブロガーたちが政治に対しても発言し、投票行動を大きく左右するようになって初めて「ブログはメディアになった」と新聞やテレビで評価を得るのかもしれない。

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