
このランキングを前向きに受け止め、もっと女性候補者を国会に送り出そうと考えれば、今回の衆院選で多く女性候補を出している党を応援しなければならないことになる。ちなみに一番多く女性候補を出している党は共産党で69人、次いで自民党26人、民主党24人と続く。さらに当選の可能性を言えば、比例代表の1位に女性候補者を据えている自民党となるだろう。
この記事を読んで、私は正直言って「これは巧妙な世論誘導だ」と思った。ある党の党首クラスなどはさっそく「新聞にもありましたが、女性の政界進出は国際的に見ても遅れております。その点、わが党は優先的に女性候補を擁立しております…」などと街頭演説のネタにするだろう。この意味で今回の人間開発報告書のニュースリリースは謀略に近い、と感じたのだ。この時期、このタイミングでこんな国際統計を出してくる「霞ヶ関」は一体どこなのだろうかと勘ぐった。
新聞をつぶさに読んだ。しかしリリースした省庁名がどこにも記載がない。そこで数紙の記事をもう一度読むと、冒頭に「ニューヨーク」あるいは「ジューネーブ」とある。つまり特派員が記した記事なのである。ここで私の謀略説は一気に崩れた。早とちり。
しかし、そもそも紙面をよく読めば、この統計もなんとなく怪しい。日本のGEMが38位から43位に低下した理由は女性国会議員の割合が9.9%から9.3%に下がったのが響いたのだとか…。個人的な思いだが、女性の権限を統計化するのであれば、「家計における女性の権限」を追加してほしい。年代は忘れたが、総理府統計では、家計の財布を握る女性は70数%と欧米に比べ群を抜く。個人の金融資産はトータルで1300兆円。預貯金や保険をやり繰りしている日本の女性は世界に類を見ない金融パワーの持ち主なのだ。これが統計として評価されれば、ランクは一気に上がるはずだ…。
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