能登半島の尖端の珠洲市では、400年の伝統を受け継ぐ塩づくりが営まれている。塩をつくる場合、瀬戸内海では潮の干満が大きいので、満潮時に広い塩田に海水を取り込み、引き潮になれば水門を閉める(入り浜式塩田)。ところが、日本海は潮の干満が差がさほどないため、満潮とともに海水が自然に塩田に入ってくることはない。そこで、浜で海水を汲んで塩田まで人力で運ぶ(揚げ浜式塩田)。いまはポンプで海水を引くケースもあるが、かたくなに伝統の製法を守る浜士(はまじ=塩づくりに携わる人)もいる。一握りの塩をつくるために、浜士は空を眺め、海水を汲み、知恵を絞り汗して、釜で火を燃やし続けている。

先日、能登の「道の駅」に立ち寄ると、『能登の塩飴』という商品が棚にあった。「地場産素材にこだわって奥能登珠洲市の海水塩を使用しました」と書いてある。製造会社は愛知県の製菓会社。どんな飴の味がするのか興味がわいて買った。飴は無色透明の円型で、直径2㌢、厚さ1㌢ほど。
夕方、食事が終わって飴を買ったことを思い出して、口に入れた。甘味の中に残る、昔風のやさしい塩味だった。食事で白ワインを飲んでいたので、飴の後にイワンを飲むと、これがなんとも口の中で融け込んでまろやかな風味が広がる=写真・上=。ちなみに、ワインはボルトガル産でアルコール度数は12%。能登産の塩飴と白ワインがこれほど相性がいいのかと初めて知った次第。

ワインの話は続く。先日、金沢で催された日本料理とワインを楽しむ会に参加した。講師はフランス・ブルゴ-ニュ地方のヴォーヌ・ロマネで8㌶のブドウ畑を耕し、ワインを生産する女性経営者のリュシ・テイヨー・ミュニュレさん=写真・下の左側=。収穫から醸造までを親戚を含めた家族経営で行っている。会場では年に5本ほどしか生産しないという希少なダブルマグナムボトル(3000ml)の「Ruchottes Chambertin Grand Cru 2017」が振舞われた。
質問タイムがあったので手を挙げた。日本酒では原酒ブームが続き、欧米では「ペティアン・ナチュレ」というワインの原酒ブームがあると聞いているが、いまもそのブームは続いているのかと問うと、「いまもブームは続いている」とのこと。もう一つ。日本酒は限りなく水に近い酒がおいしいとされるが、フランスのワインのおいしさも水に近いのかと質問。すると、「フランスではミルクに近いワインが最高」とのこと。確かに、会場で振舞われたイワンはほんのりと柔らかい日本酒のような風味で、能登カキのしぐれ煮や昆布じめの刺し身と絶妙に合って、まさにマリアージュの世界が口の中で広がった。
⇒14日(土)夕・金沢の天気 くもり時々あめ
