前回のトキの話の続き。トキの放鳥を楽しみにしている高校生たちものいる。今月5日付のブログ「★能登半島の真ん中、JR能登部駅に夢のある『トキ舞う壁画』」でも紹介した、能登半島を走る列車のJR七尾線・能登部駅にあるトキやツルが舞う壁画を作成したのは石川県立鹿西高校の生徒たち。「能登の明るい未来」をテーマにJRの許可を得て創り、能登の伝統的な祭りのキリコと青柏祭の「でか山」の周りをトキやツルが飛ぶ姿が描かれている=写真・上=。

能登部駅は、5月31日にトキが放鳥される羽咋(はくい)市の邑知潟(おうちがた)の北側に位置し近場でもある。おそらく列車の窓からトキが空を舞う姿を眺めることできるようになる。生徒たちはそのイメージを伝統の祭りと重ね合わせ、「能登の明るい未来」として描いたようだ。想像を膨らませた生徒たちはかつてこの地域で棲息していたトキの話を祖父母から聴いていたのかもしれない。駅の近くに連なる眉丈山(びじょうざん)はかつてトキの繁殖地で、1961年の記録で5羽のトキが確認されている。半世紀以上も前のことだが、そのころのトキの思い出を祖父母から聴いて知り、さらに能登とトキの歴史を学んでイメージを膨らませたのだろう。夢のある壁画だと思った。
トキの姿をかたどったクッキーを、羽咋市にある県立羽松(うしょう)高校の教員の方からいただいた。同校は邑知潟南側の近場にある。この位置からすれば、校舎の窓からトキが飛ぶ姿を見ることができるだろう。羽松高の生徒たちが金沢市でクッキー教室を開いている講師の女性と協力してクッキーセットをつくった。クッキーは、羽ばたくトキなど4種類あり、そのデザインの一部を生徒たちが考案した。なるほどと思ったのはその商品名で、『おかえり ふるさトキ』=写真・下=。上述した眉丈山はかつてのトキの棲息地であり、そのふもとにある邑知潟や田んぼは餌場でもあった。トキがいよいよ古里に帰って来る、そんな熱い想いを盛り込んだ商品名ではないだろうか。

ちなみに商品のベースとなっている米粉は、地元で栽培されている無肥料・無農薬の自然栽培米だ。地元では「羽咋米」と呼ばれるブランド米でもある。日本の自然栽培の第一人者とされる、青森県弘前市のリンゴ農家の木村秋則氏の指導を受けて栽培している。木村氏は、「奇跡のリンゴ」のテーマでNHK番組『プロフェッショナル仕事の流儀』(2006年12月7日放送)で取り上げられ、農薬と肥料を一切使わない農法を全国に広めている。その木村氏の農法をコメづくりで活かしたのが羽咋米。邑知潟周辺に自然栽培の田んぼが広がる。
これはあくまでも憶測だが、環境省が邑知潟周辺でのトキの放鳥を決めたのも、自然栽培米が広がる地域であること、その栽培に地域農家の熱意を感じたからではないだろうか。もちろん、トキの餌となるカエルやドジョウ、メダカがこうした水田に豊富にいるということは言うまでもない。
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