きのう(15日)午後、能登半島の羽咋市の海岸に漂着した北朝鮮の木造船を見に行ったついでに、周辺の海岸沿いを歩いた。ペットボトルや廃棄された漁具など大量の漂着ごみが流れ着いている=写真・上=。このブログでも何度か日本海の海洋ごみについて述べてきたが、あらためて考えてみたい。

ごみを見ると、日本語のものも多数あるが、ハングル文字やロシア語、中国語などが多くある。大陸側に沿って南下するリマン海流が、朝鮮半島の沖で対馬海流と合流し、山陰や北陸などの沿岸に流れてくる=海流図=。とくに能登半島は日本海に突き出ているため、近隣国の漂着ゴミのたまり場になりやすいとされる。
どのようなものが、どれだけ、どこから流れてくるのだろうか。石川県資源循環推進課が羽咋市柴垣海岸で実施している「漂着ごみ組成調査」(2025年10月15日)によると、回収したごみ1101個のうちプラスチックが79%(前年調査74%)、発砲スチロール8%(同10%)と続いた。そのうち、ペットボトルに記されていた言語表記では中国・台湾が41%(同46%)、日本が41%(同29%)、韓国が11%(同20%)、ロシアが2%(同3%)だった。数字で見る限り、直近の調査で6割から7割のごみが対岸から流れて来ている。

懸念されるのは人体へ影響だ。粉々に砕けたプラスチックは海を漂い、海中の有害物質を濃縮させる。とくに、油に溶けやすいPCB(ポリ塩化ビフェニール)などの有害物質を表面に吸着させる働きを持っているとされる。そのマイクロプラスチックを小魚が体内に取り込み、さらに小魚を食べる魚に有害物質が蓄積される。食物連鎖で最後に人が魚を獲って食べる。不都合な真実ではある。
海洋ごみと生態系について知られた国際条約に、バルセロナ条約(汚染に対する地中海の保護に関する条約)がある。UNEP(国連環境計画)の主導で1976年に本条約が採択され、21ヵ国とEUが締約国が加盟し、1978年に発効した。特別保護地域などを特定し、海洋環境、生態系バランス、自然や文化遺産として重要な海洋や沿岸地域を保護するための対策が盛り込まれている。
UNEPで条約を担当していたアルフォンス・カンブ氏と能登の海岸をテーマに意見を交わしたことがある。カンプ氏が「いしかわ国際協力研究機構(IICRC)」の所長時代に金沢で知り合い、何度か能登視察に同行した。廃棄物が漂着した海岸を眺めながら、日本海は生け簀(いけす)のような小さな海域であり、このまま放置すれば大変なことになるとカンプ氏は危機感を抱いていた。そのとき、バルセロナ条約によって、地中海の海域が汚染されるのを何とか防いでいると教えてもらった。「日本海の環境を守る能登条約が必要ですね」とカンプ氏が語っていた。20年ほど前の話だが、まさにそのときが来ていると、今回能登の海岸を眺めて実感した。
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