★「核を持つべき」総理官邸幹部オフレコ発言の波紋広がる

残すところあと9日。この1年を振り返って、どんな年だったのだろうかと思いめぐらしてみても、ぴったりとはまる言葉が思い浮かばない。ふと出た言葉が、ケセラセラ(Que será, será)。若いころの流行語で、「どうにかなるさ」という意味のスペイン語だ。ところが、ケセラセラでは済まされないような怪しい雰囲気が漂い始めている。安全保障政策を担当する総理官邸の幹部が今月18日に記者団とのオフレコ発言の中で、「核を持つべきだと思っている」と語ったことが波紋を広げている。

メディア各社の報道によると、この発言に真っ先に反応したのは北朝鮮だった。北朝鮮外務省の傘下機関にある日本研究所は20日、「極めて挑発的な妄言だ」と反発する談話を発表した。21日付の朝鮮中央通信が伝えた。日本政府は表では世界で唯一の被爆国だとして非核化を唱えつつも、裏では核保有を目指していると主張した。さらに北朝鮮側は、アメリカが韓国の原子力潜水艦の建造を承認したことを契機に、日本でも原潜の必要性が議論されるようになったとも指摘した。「アメリカを背に核武装化へと突き進んでいる戦犯国・日本の危険極まりない妄動を断固として阻止しなければならない」と批判した、と報道されている。

日本海側に住む一人として懸念するのは、総理官邸幹部の発言が北朝鮮に弾道ミサイルを日本海側に打ち込む口実を与えるのではないか、ということだ。北朝鮮は10月22日、数発の短距離弾道ミサイルを発射し、日本海に撃ち込んでいる。この日は高市総理が総理に就任した翌日。高市氏は自民党「北朝鮮核実験・ミサイル問題対策本部」の本部長代理を務めていた。(※写真は、10月22日の北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けて記者会見に応じる高市総理=首相官邸公式サイトの動画から)

そもそも、冒頭の「オフレコ発言」とは何か。記者取材の用語に、「オンレコ」と「オフレコ」がある。オン・レコードはメモ取り、オフ・レコードはメモ取りなし。オンレコは記者会見といった実名で発言内容がニュースになることが多い。オフレコは一応記事にしないことを前提とした取材を指す。情報のニュースが高く、記事にする場合は、オフレコの発言者を今回の場合のように「総理官邸幹部」や「政府筋」といった匿名の表現にとどめる。発言内容も一切報道しない「完オフ」(完全オフレコ)という場合もある。

もし、総理官邸幹部のオフレコ発言を口実にして北朝鮮が弾道ミサイルを日本海に放ったら、どのような事態になるのか。高市総理は官邸に入り、防衛、外務両大臣に必要な情報の収集と分析を指示することになるだろう。それでもメディア各社は匿名を続けるのか、あるいはこの際、実名とするのか。ケセラセラと言ってはおれない事態になる。

⇒23日(火)午前・金沢の天気   はれ